ONE OK ROCKが、11月に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで行われるLINKIN PARKの来日公演にゲスト出演することが発表された。
リンキン・パーク、初期の頃はたくさん聴いてた。
『Papercut』も好きだったが、しいてあげるとしたらこの曲か。
『Faint』
収録アルバムはこちら
Meteora
日本のバンドで分かりやすくいうとDragon AshとかMAN WITH A MISSIONがその系譜にあたる。
DJが入る、いわゆるミクスチャー・ロックってやつだ。
リンキン・パークといえば2000年代に最も成功したバンドといわれてる。
その単独公演3日間全てにワンオクがゲストで出る。
このことの意味することとは?
いくつか考えてみました。
ONE OK ROCKの実力
単純にワンオクの実力と見る考え方。
彼らが海外で所属してるフュエルド・バイ・ラーメン(Fueled by Ramen)。
ここは、フォール・アウト・ボーイ (Fall Out Boy)やパニック!アット・ザ・ディスコ(Panic! at the Disco)が所属してるレーベル。
そして事務所は大手芸能事務所アミューズ。ブッキング等々では力があるのは確かである。
だが、近年の彼らの活動からしたら指名されるべき力があるのは間違いない。
このアルバムが発売されたのは2013年。
今でもライブで必ずやるアンセムソング、『The Beginning』と『Deeper Deeper』が収録されている。
この頃から海外メディアに注目され始めてるし、次からのアルバム2作は海外でレコーディングされてる。
となるとすでに海外でのキャリアも4年ほどになるし、名実共にリンキン・パークと対バンを張れるアーティストはワンオクしかいない。
ワンオク側も海外のビッグバンドとの対バンは大きなアピールになる。
日本代表ってやつですな。
そしてもう一つの見方。
チケットが売れない
どんなに世界的に有名なアーティストでも、単独公演ではチケットをさばくのが難しい現実がある。
そこにはもちろんハコの大きさとチケット代も関係する。
ハコの大きさ
今回発表された幕張メッセ 国際展示ホール9~11はキャパが10000~15000人。
1日なら間違いなく埋まる。しかし今回は3日間。となると、おそらく厳しい。
せっかく呼ぶならたくさんライブやってもらわないと元取れない
↓
そうなると客入りが心配
↓
集客は間違いないワンオクを指名
こんなところだろうか。
ハコが小さければ単独公演が成り立つ。
5月にやるライブを例を挙げてみる。
- ジェイク・バグ 赤坂BRITZ(1300人)
- ジャミロクワイ 東京国際フォーラムホールA(5000人)
- アースウィンド&ファイヤー 日本武道館(14000人)
- ピットブル 日本武道館(同上)
今はあのジャミロクワイがキャパ5000人でやるという厳しい現実がある。
彼らは最近活動してなかったから仕方ない側面もあるけれども、俺が最後に彼らを観た時は2000年の東京ドーム(45000~50000人)だった。
昨今の洋楽離れが顕著に現れてる。
チケット代の高さ
そして日本のバンドと比べると高いチケット代。
先ほどのアーティストを例に出す。
- ジェイク・バグ ¥6,800-(税込/1F Standing/1Drink別) / ¥7,800-(税込/2F指定席/1Drink別)
- ジャミロクワイ SS指定席¥18,000(税込)S指定席¥12,000(税込)
- アースウィンド&ファイヤー S指定席¥13,000-(税込) A 指定席¥9,800-(税込)
- ピットブル アリーナ指定席::¥18,000(税込) / アリーナ立見 & スタンド指定席::¥9,500(税込)
そして今回のLINKIN PARK。
スタンディング ¥8,800 (税込)(ブロック指定)
VIP S ¥15,500 (税込)(アリーナ前方観覧エリア・グッズ付き)
VIP SS ¥60,000 (税込)(アリーナ前方観覧エリア・LINKIN PARKとのM&G・グッズ付き)
安くはない。いや、むしろ割高に感じるのは仕方あるまい。
この前ニュースにもなったワンオクの同会場でのライブの値段は、調べられなかったんだがおそらく¥7,000くらい。
今回のライブのスタンディング席と値段が近いのも戦略的な匂いもする。
単独ライブ<フェス
最近感じるのが、単独公演よりもフジロックやサマーソニックの方プライオリティが高くなってるんじゃないかってこと。
特に昨年20年目を迎えたフジロック(今年はビョーク!)。

日本のフェス文化を定着させた偉大なフェスであるが、海外からもクリーンでエコなフェスとして認知されている。
海外アーティストからも非常に人気が高い(日本勢もフジは特別との声はよく聞く)。
もう、この2大フェスに海外勢のブッキングは集約されてきてる。
2016年は特にすごかった。
フジには、レッド・ホット・チリペッパーズ、ベック、シガーロス。
サマソニには、レディオヘッド、アンダーワールド、オフスプリング。
単独はやらないのにフェスには出る。
この現象は確固たるものになりつつある。
そして、それは音楽ファンもまた同じことが言える。
不景気の影響
洋楽の良さを広める前に、なんせ今は洋邦問わずCDが売れない現実がある。
90年代よりも2000年代よりも、2010年代は音楽市場が衰退している。
不景気のあおりはこういうところにも現れているのだ。
CDは買わずにyoutubeや違法ダウンロードで済ましている人も少なくない。
2013年のインタビューだがレーベル社長の横山健がCDが売れないことを認めている(転売禁止策はみんな講じ始めた)。
http://realsound.jp/2013/10/cd-1.html/amp/
若者はお金がない。
そんな状況で彼らはどこにお金を払うか。
価値に見合う場所、もしくは価値以上の場所にである。
アパレルも外食産業もそうだが、デフレで安いものしか売れなくなっている。
車も若い層には売れてないらしい。
そこでフェスだ。
フェスというのはたくさんのバンドが観れる割りにチケット代は割安。
しかもやる曲は鉄板の曲ばかり。
値段以上の価値があると認識されてるからこそ年々増え続けている。
先日行われたCOLDPLAYの来日公演もゲストにRADWIMPSが出演した。
彼らも若者がお金を出してワンマンツアーに行く数少ないバンドの一つ。
リンキン・パークにワンオクと同じ手法である(ドームというのはすごいと思うが)。
まとめ
今回挙げた要素以外にもまだまだ原因はあるだろう。
邦楽市場が元気かといえばそんなことはないので洋楽市場の減退が早々に解決するとは思えない。
しかし景気が回復すれば、衣食住に関係のない音楽業界に確実にお金は回るはず。
バブルが弾けてから日本がずっと不景気に喘いでいる。
今回のワンオクとリンキンパークの対バンは、その日本の長きに渡る不景気の影響を象徴してるとも言えないだろうか。
朝鮮半島で戦争が起こったら戦争特需が起こるかもしれないが、そんな好景気なら俺はいらない。
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